町家は道に面して建つ建築です。この、道に面した側にお店や仕事場のスペースがあります。こう言うと語弊があるかもしれませんが、道の両側にたくさんの町家が並んでいた様子は今で言う商店街を歩くような感じだったのではないでしょうか。町家は間口が狭いので、より多くのお店が通りに並ぶことが出来ました。昔の人もあれこれ目移りしながら町家の店先を歩いたのではないでしょうか。

町家の中に入ると、外から見た印象よりもぐんと広く感じます。奥に向かって長い、いわゆる「うなぎの寝床」です。家によってバリエーションはありますが、室内は通りに面した店(見世)の間から奥へ進むと日常生活の空間やお客様をもてなす部屋が現れます。実際に町家レジデンスインの町家に泊られてみると、皆さまがくつろいでお食事をしたりテレビを御覧になったりする部屋は一階の一番奥の和室となっていることに気付かれるかと思います。町家レジデンスインの町家は現代の私たちでも使いやすいようにモダンなデザインと工夫がなされたものですが、奥に向かってプライベートな空間になるという生活スタイルそのものにまで伝統的な作りが活かされているのですね。

間口が狭く奥に広い、という町家の造りには、税負担の軽減(間口が広いとお店にお客をより集めやすい分、負担が大きくなったそうです。)や、一つの通りにたくさんのお店が軒を連ねることが出来るという利点がありました。それにしてもリラックスするための部屋が通りから一番離れた静かな位置に造られていることは、落ち着いた家族団欒を楽しむのには大変理に適ったことのように思えます。日常の忙しさから離れた、ゆったりした時間が過ごせそうです。