今回は町家の原型が誕生した平安時代についてお話します。平安時代は現在イメージする「京都らしさ」の原型が生まれた時代でもあります。当初は先進国である唐(中国)風の政治や文化が正統とされました。

しかしある貴族が政治の実権を握るとそれまで唐風の政策を進めて来た層は政権交代となります。その頃から席巻し出したのが花は桜に代表される国風文化です。また中国から学んだ漢字からひら仮名などが生み出され、それまでの漢詩文に加え和歌が流行します。

ある貴族というのは藤原氏のことなのですが、その全盛期には『源氏物語』や『枕草子』などの文学が生まれ、その感性は染色や工芸、建築などに雅な影響を与えます。私達のイメージする「京都らしさ」はこの時代に育まれた感性に根ざしていると言えましょう。これらの技は町家に住まう職人・商人達によって時代ごとのアレンジを加えながら受け継がれ、町家の少なくなった現在も京都らしさを伝えています。